“絶望の壁を越え、圧倒的スケールで描き出すアクションエンターテインメント――この世紀の問題作『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』は、世界中に圧倒的なインパクトを放ちました。2015年、人気漫画『進撃の巨人』(原作:諫山創)の実写映画化作品としてスクリーンに登場した本作は、「人が食われる世界」という独自のダーク・ファンタジー世界観を徹底したリアリズムとハリウッド顔負けのVFXで表現することで、国内外のファン双方から反響を呼びました。
ストーリーは、人類が巨人から逃れるために築いた三重の壁の中で暮らす少年エレン・イェーガーを中心に展開。彼は巨人襲来によって母を失い、仲間とともに自由を求めて“壁の外”への反撃を誓います。主人公たちが生死を賭けて繰り広げるバトルや、巨人と人間の深い謎、エモーショナルな成長ドラマが圧倒的な映像美とともに描かれます。
音楽は澤野弘之が担当し、重厚かつ壮大なサウンドで世界観に更なる臨場感を与え、アクションシークエンスも演出の樋口真嗣監督ならではのスペクタクルに仕上がっています。三浦春馬、水原希子ら豪華キャスト陣がキャラクターの心情を繊細に表現し、日本映画最高峰のVFXチームによる巨人の質感や戦闘シーンは圧巻です。
映画は前編・後編の2部構成。原作のエッセンスを活かしつつ、独自の物語展開や設定の大胆な変更も施されており、オリジナリティあふれる実写版『進撃の巨人』として高い話題性を獲得しました。
世界観、アクション、CG技術、演出、どれを取っても日本映画の新しい到達点と評価される本作。自らの運命と向き合い、絶望の中に希望の光を見つけようとする若者たちの姿が胸に刺さる、前人未到のエンターテインメントです。”
進撃の巨人 映画 アニメーション
- 韓国語 진격의 거인 | 英語 Attack on Titan | 日本語 進撃の巨人 ATTACK ON TITAN |
- ジャンル:アクション、ダークファンタジー、スリラー
- 監督:樋口真嗣 | 脚本:渡辺雄介、町山智浩 |
- 製作:市川南 他
- 出演:三浦春馬、水原希子、本郷奏多、長谷川博己、石原さとみ 他
- 撮影:江原祥二 | 音楽:澤野弘之 | 武術:清水一希 他
- 製作会社:東宝映画 | 配給会社:東宝
- 公開日:日本 2015年8月1日(前編)、9月19日(後編)
- 上映時間:前編 98分、後編 87分
- 製作費:約30億円
- 興行収入:約50億円(日本 約240万人動員推定)
- 上映等級:PG12(日本)
Table of Contents
映画 進撃の巨人 ATTACK ON TITAN 評価
- ロッテン・トマト 新鮮度:83%(前編)/ 78%(後編)
- IMDb:9.1/10(前編)
『進撃の巨人』巨人の種類まとめ
『進撃の巨人』における巨人化能力者は、強い目的意識を持ち、身体に傷を与えることで巨人へ変身する特殊な能力を持つ者です。この能力を持てるのは最大9人であり、巨人化後の自我や知性の維持には修練が必要です。巨人化に必要な力は「九つの巨人」を中心に継承されてきました。
九つの巨人とその能力
『進撃の巨人』に登場する九つの巨人は、それぞれ特有の能力を持ち、物語を大きく動かす存在です。各巨人はエルディア人の「ユミルの民」の中で代々継承されてきました。能力・外見ともに継承者によって異なる場合があり、王家の血を引く継承者では特殊な能力が発現します。
1. 始祖の巨人(しそのきょじん)
- 能力: すべての巨人の操縦、記憶や肉体の改変、巨人の創造など非常に多様な能力を持つ。王家の血を引く継承者のみ真価を発揮できる。
- 主な継承者
- フリーダ・レイス
- グリシャ・イェーガー
- エレン・イェーガー
2. 進撃の巨人(しんげきのきょじん)
- 能力: いかなる時代でも自由のために進み続け、過去や未来の継承者の記憶を追体験する力がある。
- 主な継承者
- エレン・クルーガー
- グリシャ・イェーガー
- エレン・イェーガー
3. 超大型巨人(ちょうおおがたきょじん)
- 能力: 約60メートルという圧倒的な巨体と破壊力、爆発的な熱風を発生させることができる。
- 主な継承者
- ベルトルト・フーバー
- アルミン・アルレルト
4. 鎧の巨人(よろいのきょじん)
- 能力: 全身を硬質化して鎧のような皮膚を持ち、高い耐久力と防御力を誇る。
- 主な継承者
- ライナー・ブラウン
5. 女型の巨人(めがたのきょじん)
- 能力: 女性型の体型で俊敏、高い機動力を持つ。体の一部を硬質化、無垢の巨人を呼び寄せる能力も持つ。
- 主な継承者
- アニ・レオンハート
6. 獣の巨人(けもののきょじん)
- 能力: 全身に体毛があり、遠投能力と無垢の巨人の操縦ができる。
- 主な継承者
- トム・クサヴァ
- ジーク・イェーガー
7. 車力の巨人(しゃりきのきょじん)
- 能力: 四足歩行で長時間巨人化を維持し、各種兵装の搭載が可能。補給や戦術支援に長ける。
- 主な継承者
- ピーク・フィンガー
8. 顎の巨人(あぎとのきょじん)
- 能力: 強靭な顎と爪で攻撃し、高い機動性を持つ。硬質化した物も砕くことができる。
- 主な継承者
- マルセル・ガリアード
- ユミル
- ポルコ・ガリアード
9. 戦槌の巨人(せんついのきょじん)
- 能力: 硬質化を自在に操り、武器や構造物を形成できる。継承者は本体外部から巨人操作が可能。
- 主な継承者
- ララ・タイバー
その他の巨人
- 無知性巨人
巨人化能力を持たないエルディア人が脊髄液を投与されて変化。自我がなく、人間を無差別に捕食する。人間を食べても元に戻ることは基本的にないが、九つの巨人の力を持つ者を捕食した場合のみ自我と人間の姿を取り戻す例が存在。 - 継承・制約
九つの巨人の力は「ユミルの呪い」により継承者は13年で死亡。力を自ら継承させずに死亡した場合は、無作為なユミルの民に突然継承されるという現象が起こる。
世界観とシリーズ誕生エピソード
ある日、突如現れた巨人族によって人類が滅亡の危機に晒される―。主人公のエレン・イェーガーが巨人に変身し、巨人たちと戦い始める物語です。エレン・イェーガーとミカサ・アッカーマンのラブラインを応援するファンも多かったですが、残念ながら二人の恋は成就しませんでした。
進撃の巨人誕生の裏話としては、作者の諫山創がネットカフェのアルバイト中、酔っ払い客の暴れに遭遇した恐怖から「人間の尊厳への畏れ」を感じたことが本作の第1期ストーリーの核となっています。同じ人間でも理性を失った人間を見て、巨人の世界観を着想したそうです。
原作者・諫山創はわずか23歳でデビューし、1億部以上の売上を達成した億万長者です。余談として、ジャンプ連載を希望したものの出版社の都合で叶わなかったとの逸話もあります。
進撃の巨人 アニメシリーズ順
- 進撃の巨人 1期(第1期/2013年放送、全25話)
- 壁の崩壊、エレン・ミカサ・アルミンの調査兵団入団
- エレンの巨人化能力覚醒
- 女型の巨人(アニ・レオンハート)との戦闘
- 終わらない人類VS巨人の死闘が始まる
- 進撃の巨人 2期(第2期/2017年放送、26~37話)
- 巨人の正体に関する手がかり提示
- 鎧の巨人(ライナー)、超大型巨人(ベルトルト)などの正体が明らかに
- コニーの村など「壁内巨人」の謎
- 重要人物ユミルの過去が明かされる
- 進撃の巨人 3期(第3期/2018~2019年放送、38~59話、Part1/Part2)
- 王政の秘密、ヒストリアの過去、人類内部の政治闘争
- エレンの家の地下室到達、壁内と壁外の真実が明かされる
- 壁マリア奪還作戦と始祖の巨人(フリーダ・レイス)との決戦
- エルディア、マーレなど既存世界の衝撃的な真実が進行
- 進撃の巨人 The Final Season(ファイナルシーズン/2020~2023年放送、60~89話)
- 壁外の世界「マーレ帝国」の登場、人類対人類の戦争
- エレン、ジークら主要人物たちの意志衝突、巨人能力の全面対決
- 壁内外の人類・味方と敵の区別の融解、人類の選択と犠牲
- 地鳴らし発動、最終決戦、エレンと仲間たちの最後の選択、世界の終末に近い大災厄
- 多くの犠牲を経てエレンや真実が明かされ物語は完結
進撃の巨人 世界観・設定ポイント
- 最初の巨人は2000年前、エルディア部族の奴隷少女「ユミル」。
- 井戸に落ち、始祖の巨人の力を手に入れる。
- エルディア族長「フリッツ王」はユミルを戦争兵器として利用、ロゼ・マリア・シーナの3人の娘をもうける。
- ユミルは王の暗殺を防ごうとして死亡。王は娘たちにユミルの死体を食べさせて巨人の力を継承させたことから、9つの巨人に分かれる。
- ユミルの力は娘たちに受け継がれ、やがて巨人の力でエルディアは世界を支配した。
- アッカーマン一族はフリッツ王家が巨人の血で生み出した戦闘民族。
- 無垢の巨人たちは始祖の巨人の命令に従う。
- “進撃の巨人”は歴代継承者の記憶を見る能力がある。
- エレン・イェーガーは「座標の力(地鳴らし)」で超大型巨人を操ることができる。
- 始祖の巨人の力は「不戦の契り」により本来使えないが、王家の血筋者と始祖巨人継承者が接触すれば使える。
- 巨人継承者は13年という寿命制限がある。
- 巨人の力は「大地の悪魔」との契約で手に入れる設定。
- The Final Seasonではユミル・フリッツがエレンに与えた力が「大地の悪魔」に相当。
進撃の巨人 キャラクター 声優 キャスト
エレン・イェーガー(声優:梶裕貴):壁の外の世界に憧れを抱き母を巨人に殺されたことで全ての巨人を駆逐することを誓い、「進撃の巨人」と「始祖の巨人」の力を継承し物語の核心へ迫る本作の主人公。
ミカサ・アッカーマン(声優:石川由依):エレンの幼なじみでアッカーマン一族出身、卓越した戦闘力を持ち常にエレンを守ることを最優先に行動する冷静な人間兵器。
アルミン・アルレルト(声優:井上麻里奈):エレンとミカサの幼なじみで知恵と発想力に優れた参謀、後に「超大型巨人」の力を継承し冷静な判断力で活躍する。
リヴァイ・アッカーマン(声優:神谷浩史):調査兵団の兵士長で人類最強と呼ばれる存在、小柄ながらも圧倒的な戦闘力で多くの巨人を討伐してきた。
エルヴィン・スミス(声優:小野大輔):高いカリスマ性と戦略眼を併せ持つ調査兵団第13代団長で、仲間と人類の未来のため苦渋の決断を下す。
ハンジ・ゾエ(声優:朴璐美):巨人の生態研究に熱心な科学者であり調査兵団第14代団長として知的好奇心と実戦力を兼ね備えている。
ライナー・ブラウン(声優:細谷佳正):104期訓練兵団出身で正体は「鎧の巨人」の継承者、任務と仲間の間で葛藤し続ける。
ベルトルト・フーバー(声優:橋詰知久):控えめな性格だが「超大型巨人」の継承者として物語の重要な局面で登場する。
アニ・レオンハート(声優:嶋村侑):クールで寡黙な「女型の巨人」継承者で格闘術に優れ、一匹狼として行動する。
クリスタ・レンズ/ヒストリア・レイス(声優:三上枝織):表向きはか弱く見えるが王家「レイス家」の正統な後継者として後に人類の女王に即位する。
ユミル(声優:藤田咲):謎多き過去を持つ訓練兵団員で「顎の巨人」の力を得て自分のために生きる選択をした。
サシャ・ブラウス(声優:小林ゆう):食いしん坊で素朴な狙撃の名手、仲間思いのムードメーカーとして人気。
ジャン・キルシュタイン(声優:谷山紀章):現実主義で批判精神が強いが成長と共にリーダーシップを発揮する。
コニー・スプリンガー(声優:下野紘):陽気でお人好しだが家族を巻き込む巨人の悲劇に苦悩する一面を持つ。
ピーク・フィンガー(声優:沼倉愛美):知的で観察力が鋭い「車力の巨人」継承者、マーレ軍の重要な戦力。
ジーク・イェーガー(声優:子安武人):マーレ軍戦士隊長で「獣の巨人」継承者、実はエレンの異母兄弟で物語の鍵を握る。
ガビ・ブラウン(声優:佐倉綾音):マーレの戦士候補生で強い信念と行動力を持ち、新世代の重要キャラクター。
ファルコ・グライス(声優:花江夏樹):ガビの同期で温和な心の持ち主、後に「顎の巨人」を継承し葛藤を抱えながら成長。
ポルコ・ガリアード(声優:増田俊樹):力強さと仲間への複雑な思いを抱え戦う「顎の巨人」継承者。
ハンネス(声優:藤原啓治):トロスト区の駐屯兵でエレンたちを守った恩人。
キース・シャーディス(声優:最上嗣生):104期訓練兵団の教官で元調査兵団団長、エレンたちの成長を静かに見守る。
進撃の巨人 監督 樋口真嗣 フィルモグラフィ
樋口真嗣監督は日本VFX界の第一人者であり、実写特撮映画・CGアクションの名匠です。『ローレライ』や『日本沈没』など邦画大作を手掛け、『シン・ゴジラ』(2016年)はその演出力とダイナミックな映像美が高く評価されました。樋口監督はCGIと実写の融合、巨大感演出のスペシャリストとして知られ、進撃の巨人ではVFXを駆使した巨人表現と、日本的フィルターで再解釈した極限状況描写で新境地を切り開きました。製作時には、難易度の高いロケ地選定やキャストの身体訓練など、新しい挑戦を数多く重ねたといいます。
代表作:『ローレライ』(2005年)、『日本沈没』(2006年)、『巨神兵東京に現る』(2012年/特撮短編)、『進撃の巨人』シリーズ、『シン・ゴジラ』(2016年)
進撃の巨人 あらすじ
2000年前、エルディア部族にはユミルという奴隷の少女がいました。少女はぬれぎぬを着せられて逃走していたところ、不思議な木の中に隠れ、そこにある水たまりに落ちてしまい、そこで不思議な脊髄と結合し、ユミルは最初の巨人になります。
巨人となったユミルの力を知ったエルディアの族長フリッツは、ユミルと結婚し、彼女の力を使って未来帝国を侵略します。そして2人の間にはロゼ、マリア、シーナの3人の娘が生まれます。しかし、未来王国の暗殺部隊がフリッツ王を暗殺しようとすると、ユミルは自らの命でそれを阻止し、死んでしまいます。
フリッツ王は娘たちにユミルの遺体を食べさせ、巨人の力は3人の娘によって引き継がれます。エルディアは未来王国を含めて世界を統一し、フリッツ王は巨人の血を使って戦闘一族「アッカーマン一族」を作り出します。
時が流れ、エルディア帝国は世界を支配しますが、巨人の力は9つの巨人に分かれ、巨人の力を持つ9家による巨人大戦が始まります。同族同士の殺し合いが繰り返される中、フリッツ王は過ちに気づき、マーレ王国に敗れたふりをして、タイバー家や自分に従うエルディア人とともにパラディ島へ移住することを選びます。
一方、エルディアに残った者たちは再びマーレと戦い、タイバー家はマーレ軍に合流します。7つの巨人とマーレ王国の血戦はマーレ帝国の勝利で終わり、大陸に平和が訪れたかと思われましたが……
フリッツ王はマーレ帝国から民を守るため巨大な壁を築き、その壁にユミルの3人の娘の名をつけて「ウォール・シーナ」「ウォール・ローゼ」「ウォール・マリア」と呼びます。そして「不戦の契り」により、始祖の巨人が戦争に使用されるのを防ぎます。
この誓約によって、巨人を操れる「座標の能力」はフリッツ王家の血を引く者のみに許される特権となります。そしてフリッツ王家の血統を守るため、王城を放棄し「レイス家」として新たに家名を変えます。一方、大陸側のエルディア人は自分たちを見捨てたフリッツ王を呪い、始祖ユミルは「悪魔の力を持つ存在」として世間に認識されるようになります。
780年、路上を彷徨っていた少女はユミルを信仰する秘密宗教団体により、「始祖ユミルの生まれ変わり」として生活することになります。しかし785年、マーレ王国に発見され、偽ユミルはパラディ島送りの罰を言い渡され、無知性巨人となってしまいます。
そのままパラディ島の外で60年間さまようことになりますが……
817年、グリシャ・イェーガーは弟フェイ・イェーガーと収容区から抜け出し、マーレ兵エレン・クルーガーおよびグロスに捕まってしまいます。グリシャは自らの罪で処罰されるつもりでしたが、結果的に弟フェイは冷たい遺体で再会することに。これ以降、マーレ帝国に対する強い憎しみを抱き、エルディア帝国復活のために動き出します。
グリシャは大陸に残る王家の末裔ダイナ・フリッツと結婚し、息子ジーク・イェーガーを授かります。エルディア復興を望むグリシャは、息子ジークを厳しく訓練しますが、ジークはマーレ政府に両親を告発し、グリシャとダイナ、そして復権派の仲間たちはパラディ島送りとなり、無知性巨人になる運命へと追いやられます。
そのとき、ダイナは無知性巨人となり、グリシャの前にエレン・クルーガーが現れて巨人化し、グリシャをマーレ兵から救い出します。エレン・クルーガーは、自らが「進撃の巨人」の保有者であり、巨人の力を継いでから13年で死ぬ「ユミルの呪い」が迫っていることを明かします。
そしてグリシャに「進撃の巨人」を継承させ、「始祖の巨人を必ず奪還せよ」と命じます……
その後、グリシャはパラディ島に到達し、シナ地区にてカルラと結婚して「エレン・イェーガー」が誕生します。一方843年、マーレ帝国は新しい戦士候補生に5つの巨人の力を継承させます。女型の巨人はアニ・レオンハート、超大型巨人はベルトルト・フーバー、鎧の巨人はライナー・ブラウン、顎の巨人はマルセル・ガリアード、車力の巨人はピーク・フィンガーにそれぞれ受け継がれます。そして彼らに「始祖の巨人を必ず奪還せよ」という命令が下ります。
獣の巨人ジークと車力の巨人ピークを除く4人はパラディ島へ向かいます。しかし作戦前、マルセルが巨人に襲われて死亡し、顎の巨人の力は失われます。仲間を失った3人は作戦を一旦中断し、再び「始祖の巨人」奪取作戦へと動き出します。
そして失われた顎の巨人の力は、意外にも無知性巨人として彷徨っていた「ユミル」に継承されます……
進撃の巨人 1期 あらすじ
845年、エレン・イェーガー、ミカサ・アッカーマン、アルミン・アルレルトの3人は調査兵団を夢見て暮らしている。そんなある日、突然現れた超大型巨人によってウォール・シーナが崩壊し、シナ区は災厄の地に変わる。エレンの母カルラも巨人に捕食されてしまうが、その巨人はダイナであった。
ウォール・マリアまで危機にさらされると、グリシャはフリッツ王家の秘密礼拝堂へ向かい、始祖の巨人の力を持つフリーダ・レイスと会う。しかし、「不戦の契り」によって自分は動けないと拒否される。絶望しかけたその時、エレン・イェーガーが新たな進撃の巨人の継承者であることが明かされる。
グリシャはレイス家を皆殺しにし、始祖の巨人の力を再び奪還。そして再び会った息子ジークに過去を謝罪し、エレンを止めてほしいと頼む。そしてグリシャ・イェーガーは進撃の巨人と始祖の巨人の力を息子エレンに託して息を引き取る。
エレン・イェーガーはミカサ、アルミンと共に104期訓練兵団に入隊し、そこで巨人の力をひそかに持つライナー、ベルトルト、アニ、ユミルと出会う。そして夢だった調査兵団になったが…
ある日、トロスト区に超大型巨人が出現し、再び危機に陥る。巨人たちが現れ地獄と化した街で、アルミンも巨人に食べられそうになるが、エレンは己の中に潜んでいた進撃の巨人の力に覚醒し、危機を救う。
だが人々は巨人化したイェーガーを信用せず、アルミンはエレンが持つ巨人の力でトロスト区奪還作戦を成功させる。人類の勝利を喜ぶ中、アニの女型の巨人が現れ、捕獲の際にエレンが始祖の巨人「座標」の力を持っていることが判明する。
進撃の巨人 2期あらすじ
ベルトルトとライナーはジークと共に、始祖の巨人エレンをマーレへ連れ去ろうと計画する。その間にエレンと調査兵団は、本当の王はレイス家だと知る。またクリスタが王家の血を引くことも判明。
クリスタもグリシャが起こしたことを知るが、ロッド・レイスの頼みを拒む。ロッド・レイスは巨人化してしまうが、クリスタ(ヒストリア)はオルブド区作戦で父を討ち、新しい女王となる。
時が流れ、ウォール・マリア奪還作戦を準備中のエレンは、シナ区で罠にハマり、超大型・鎧・獣の巨人に包囲されピンチとなる。調査兵団と巨人軍団の激闘の果て、ベルトルトは巨人化注射で巨人となったアルミンに食べられる。
こうしてアルミンも超大型巨人となり、驚いたジークとライナーは最終的にマーレ大陸へ戻る。
エルヴィン団長の追悼式の後、女王ヒストリア・レイスから勲章を授与され、その際にエレンは始祖の巨人の力が覚醒し、父グリシャの記憶を取り戻す。
進撃の巨人 3期 あらすじ
4年後、マーレ帝国は再びエレンが持つ始祖の巨人の力を奪還する計画を立てる。タイバー家ビリーはエルディア人への戦争を準備し、エレン・イェーガーもまたマーレへの強い憎しみから復讐を誓う。クサヴァーから獣の巨人を継いだジークは、クサヴァーから「始祖の巨人の力でエルディア人を滅ぼせる」と聞き、苦悩する。
エレンは記憶を取り戻すが、自分が人類を滅ぼす存在だと気付く。復讐が正しいのか苦悩しつつも、ミカサとアルミンを守るため自ら悪魔となることを選ぶ。そしてジークとエレン、両者とも「不戦の契り」を破り始祖の力を使う方法を知る。
ジークはエレンから始祖の巨人の力を奪おうとし、一方エレンはジークの王家の血が必要なため再度接触。ジークはエレンにエルディア人滅亡を提案。二人は「地鳴らし」によりユミルの空間へ行き、エレンの裏切りを見越したジークが「不戦の契り」の鎖を消す。
そうして王家の力を持つジークが全ての力を得るが…
ジークは、エレン・イェーガーの怒りが父グリシャの誤った思想だと伝えるため、共に記憶の中へ。しかし、そこで家族を愛する父の姿を見てジークは心が揺らぐ。そして全ては過去のグリシャの計画通りに動き出す。
グリシャはジークとの過去を悔い、それ故ジークも揺れる。
一方、最初の巨人ユミルは自身の持つ力で人間が堕落する2000年を見続け、真の継承者を待っていた。そこにエレンとジークが現れる。エレンはユミルに「奴隷でも神でもなく、ただの人間だ。自分のしたいように生きろ」と語り、ユミルは力をエレンに託す。
ユミルは愛を求め2000年を過ごしたが、エレンとミカサを通じ愛の意味を知る。人類の運命はミカサの選択に託される。こうして「大地の悪魔」の力はエレンに集束し、エレンは人類を虐殺する悪役となる決意をする。
そしてエレンは遂に「地鳴らし」を発動する…
進撃の巨人 結末
マーレ大陸はエレンによって地獄と化し、ミカサは異なる世界で再会したエレンから「自分が消えたら全てを忘れてくれ」と告げられる。ミカサはエレンが重い運命から解放されることを望み、彼を自由にするために剣を向ける。
全てが終わった3年後、エルディア帝国は再び軍備を強化し、マーレ大陸との決戦に備える。しかしヒストリア女王は連合国の特使を迎える。その特使はア ルミン、ジャン、コニー、アニ、ライナー、ピークなど巨人の力を持つ英雄たちだった。
巨人のいなくなった世界では、もはや戦争の理由すらなくなり平和が訪れる。一方、ミカサはエレンとの思い出の地で彼を偲び、恋しさのあまり一羽の鳥が現れ、あの時のようにエレンのマフラーを巻いてくれる。
時が流れ、ミカサも死の淵に辿り着き、最後の瞬間にエレンのマフラーを巻き静かに息を引き取る。
時が経っても人間の欲望は止まず、再び戦争が起こる。そしてその戦火の中、生き抜く一人の子どもが、かつての始祖ユミルのようにまた奇跡の木と向き合うことになる。果たしてこの世界に再び巨人の嵐が巻き起こるのか…
進撃の巨人 結末 考察
エレンは自ら悪魔となり世界の平和を望み、アルミンはその意志を受け入れ、最終的にミカサの手で死を選ぶことになります。エレンが「地鳴らし」を起こした理由については様々な解釈がありますが、一般的には自ら悪役を演じることを選んだという見方が大勢です。個人的には、万悪の根源たる「大地の悪魔」を自ら抑えることができなかったため、悪魔となったのだと考えます。
巨人の力を持った「大地の悪魔」を封印することだけが唯一の答えであることを、宿主となった後に悟ったエレンが、稀代の悪魔となることで世界を敵に回したのだと思います。つまり、「九つの巨人」と超人たちがすべて力を合わせなければならないほど、「大地の悪魔」の力が強大だったということです。
そのため人類大虐殺という展開も、その強大さを示すためのものだったと考えます。エレンはアベンジャーズのサノスのような役割を自ら引き受けたように思えます。ただし、漫画『進撃の巨人』ファイナルの結末では「大地の悪魔」の描写があまりにも少なかったことが議論を呼んだのだと思います。
(ただし、人類の80%を殺害するという設定はやややりすぎだったという評価もあります。50%程度でも十分だったのでは…)
ユミルはフリッツを愛して身代わりとなり死を迎えますが、彼女の愛は2,000年もの間、束縛となってしまいます。なぜユミルがフリッツを愛したのかも謎ですが、奴隷の少女として濡れ衣を着せられ非人間的な扱いを受けていたユミルを、初めて必要としたのがフリッツだったからではないかと思われます。「世界中で自分を求めてくれるのはあなただけだ」という設定なのでしょう。
ミカサの結婚相手がジャンという点も賛否両論です。エレンの最後の遺言が「自分を忘れて生きてほしい」というものだったため、別の男性と結婚したのだと考えられます。しかし、最期には再びエレンのもとへ(=死)向かうことが匂わされ、ハッピーエンドに見せかけていると解釈されます。
これまでの台詞を見ると、ミカサはエレンの遺志を受け入れ、逆にミカサが強く悲しんでいたら、エレンも悪役を演じきれなかったのではないかと思います。ただし劇中でその心情が短く描写された点は個人的にも物足りなさを感じます。物語の規模に比べてページ数の制約があったとのことです。
進撃の巨人レビュー
進撃の巨人1期の頃、諫山創先生の人気は本当に凄まじいものでした。それに比べると、個人的には物語が「竜頭蛇尾(ようとうだび)」になってしまったと感じます。進撃の巨人に対するレビューや反応を見ても賛否が分かれますが、共通して「2009年に連載を開始した当時と比べるとやや物足りない」という評価が多いようです。
『進撃の巨人 The Final Season』は、天地転移や九つの巨人の死闘が描かれますが、139話で大地の悪魔の宿主となったエレンが思ったよりもあっけなく死んでしまいます。肝心のエレンは死んだのに大地の悪魔はそのまま残り、オープンエンドのまま急ぎ足で終わった印象が強いです。まるでワールドカップ決勝が没収試合で終わったような感覚で、残念に思います。